「噛み合わせが深い」とは、上の前歯が下の前歯を大きく覆ってしまい、下の前歯がほとんど見えない状態のことを指します。
昔は、私が子どもの頃には「受け口」、つまり下顎が前に出ている子どもが多かった印象があります。ところが、最近では逆に、噛み合わせが深い子どもたちが増えている傾向が見られます。
その原因のひとつが、「口呼吸」です。もともと人は鼻呼吸をすることで、舌(ベロ)が自然と上顎に収まり、上顎の成長や歯列の拡がりを助けています。
しかし、口呼吸が習慣になると、舌の置き場所がなくなってしまい、舌が正しい位置に収まりません。その結果、舌が歯並びを内側から支えられず、歯列が狭くなってしまうのです。
さらに、舌の位置が不安定だと、舌を無意識に噛んでしまうこともあり、奥歯が沈んでしまうこともあります。そうなると、噛み合わせの高さが不足し、相対的に前歯だけが深く噛み合う状態になってしまうのです。
このように、「噛み合わせが深くなる」という現象には、呼吸の仕方や舌の位置、歯列の成長バランスなど、さまざまな要因が複雑に絡んでいます。
